轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みちづれ
道づれ
宮本 百合子
「文芸」1937(昭和12)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,491 字 · 41 页
どういうわけかひどく古風な、ふちが薄赤くうねうねした電燈のカサが漆喰天井から下っていて、照明が暗いというのでもないのに、その荒れた室内の光景は入って来た二人を黙りがちにした。
重吉は、鼻の奥でクンクンというような音をさせながら目を瞬き、長椅子へ腰をおろした。光井は一つの籐椅子の背をひっぱって行って、重吉と向いあわせのところへかけ、バットに火をつけた。それから、くつろいだ心持の自然な順序で何心なくテーブルへ肱を置こうとして、光井は埃のひどさにびっくりした顔でそう悪気もない舌打ちをした。煙草の煙が眼に入るのを避けて誰でもやる妙に眉をしかめた風で、光井はそこらにあった新聞をまるめてテーブルの上を拭いた。一面の白っぽい砂塵がなくなった代りに、今度はジャリジャリした縞が出来た。
重吉はふだんから煙草は吸わない。横顔から見ると彼の睫毛の濃く長いのがわかった。その眼をしばたたきながら黙ってさっきから光井のすることを眺めていた。重吉が深く背中をもたせて長椅子にはまりこんでいるうしろの壁には、ゴー・ストップと赤地に黒の片仮名でフラッシュのような図案にした新しくない広告ビラが貼りつけられているのであった。