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「どうひょう」をかきおえて
「道標」を書き終えて
宮本 百合子
「新日本文学」1951(昭和26)年3月号、「展望」1951(昭和26)年3月号(同時掲載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,167 字 · 14 页
仕方がなくなって、友人の心づかいで急に千葉県の田舎へ部屋がりをした。そして、その友人に日常の細かい親切をうけながら、九月はじめから、一日に一時間ずつときめて、一枚一枚半という風に「道標」第一部に着手した。五〇年の十月末に第三部を書きあげるまで、わたしの生活では治療と執筆とが併行した。
「道標」は、第一部第二部と、第三部との間にある特殊な変化がある。第一部第二部をとおして、女主人公は、ソヴェト同盟の日常生活というも{以下欠}
こうして書きはじめてみると、わたしにとって「道標」三部をかき終ったところで、この長篇全体をとおして何を試みようとしているかというようなことを語るのは、まだ困難だということがわかった。第一、長篇として「道標」三部は終ったけれども、まださきに凡そ三巻ばかりのこっている。第二に、形の上で、「道標」は中途の一節であるばかりでなく、わたしとして創作方法の発展の道ゆきからも、まだ中途であり、作者としてやっと一つの摸索の過程を通過したばかりである。このことは「二つの庭」「道標」第一部第二部、そして第三部と、それぞれの間に見られるむら――変化が率直に物語っていると思う。