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じゃしゅうもん
邪宗門
「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页
「してその方たちは、皆少納言殿の御内のものか。」と、抛り出すように御尋ねなさいました。すると盗人たちは皆どうしたのか、一しきり答にためらったようでございましたが、その気色を見てとった平太夫は、透かさず声を励まして、
「そうじゃ。それがまた何と致した。」
「いや、何とも致さぬが、もしこの中に少納言殿の御内でないものがいたと思え。そのものこそは天が下の阿呆ものじゃ。」
若殿様はこう仰有って、美しい歯を御見せになりながら、肩を揺って御笑いになりました。これには命知らずの盗人たちも、しばらくは胆を奪われたのでございましょう。御胸に迫っていた太刀先さえ、この時はもう自然と、車の外の月明りへ引かれていたと申しますから。
「なぜと申せ。」と、若殿様は言葉を御継ぎになって、「予を殺害した暁には、その方どもはことごとく検非違使の目にかかり次第、極刑に行わるべき奴ばらじゃ。元よりそれも少納言殿の御内のものなら、己が忠義に捨つる命じゃによって、定めて本望に相違はあるまい。が、さもないものがこの中にあって、わずかばかりの金銀が欲しさに、予が身を白刃に向けるとすれば、そやつは二つとない大事な命を、その褒美と換えようず阿呆ものじゃ。