轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じゃしゅうもん

邪宗門

芥川 竜之介

「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页

青空文庫

「摩利と申すからは、摩利支天を祭る教のようじゃな。」

「いえ、摩利支天ならよろしゅうございますが、その教の本尊は、見慣れぬ女菩薩の姿じゃと申す事でございます。」

「では、波斯匿王の妃の宮であった、茉利夫人の事でも申すと見える。」

そこで私は先日神泉苑の外で見かけました、摩利信乃法師の振舞を逐一御話し申し上げてから、

「その女菩薩の姿では、茉利夫人とやらのようでもございませぬ。いや、それよりはこれまでのどの仏菩薩の御像にも似ていないのでございます。別してあの赤裸の幼子を抱いて居るけうとさは、とんと人間の肉を食む女夜叉のようだとも申しましょうか。とにかく本朝には類のない、邪宗の仏に相違ございますまい。」と、私の量見を言上致しますと、御姫様は美しい御眉をそっと御ひそめになりながら、

「そうしてその摩利信乃法師とやら申す男は、真実天狗の化身のように見えたそうな。」と、念を押すように御尋ねなさいました。

「さようでございます。風俗はとんと火の燃える山の中からでも、翼に羽搏って出て来たようでございますが、よもやこの洛中に、白昼さような変化の物が出没致す事はございますまい。