轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じゃしゅうもん
邪宗門
「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页
別してその御堂供養の当日は、上達部殿上人は申すまでもなく、女房たちの参ったのも数限りないほどでございましたから、東西の廊に寄せてあるさまざまの車と申し、その廊廊の桟敷をめぐった、錦の縁のある御簾と申し、あるいはまた御簾際になまめかしくうち出した、萩、桔梗、女郎花などの褄や袖口の彩りと申し、うららかな日の光を浴びた、境内一面の美しさは、目のあたりに蓮華宝土の景色を見るようでございました。それから、廊に囲まれた御庭の池にはすきまもなく、紅蓮白蓮の造り花が簇々と咲きならんで、その間を竜舟が一艘、錦の平張りを打ちわたして、蛮絵を着た童部たちに画棹の水を切らせながら、微妙な楽の音を漂わせて、悠々と動いて居りましたのも、涙の出るほど尊げに拝まれたものでございます。
まして正面を眺めますと、御堂の犬防ぎが燦々と螺鈿を光らせている後には、名香の煙のたなびく中に、御本尊の如来を始め、勢至観音などの御姿が、紫磨黄金の御顔や玉の瓔珞を仄々と、御現しになっている難有さは、また一層でございました。その御仏の前の庭には、礼盤を中に挟みながら、見るも眩い宝蓋の下に、講師読師の高座がございましたが、供養の式に連っている何十人かの僧どもも、法衣や袈裟の青や赤がいかにも美々しく入り交って、経を読む声、鈴を振る音、あるいは栴檀沈水の香など