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じゃしゅうもん
邪宗門
「東京日日新聞」1918(大正7)年10~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,184 字 · 79 页
が、その中から絶え間なく晴れ渡った秋の空へ、うらうらと昇って参ります。
するとその供養のまっ最中、四方の御門の外に群って、一目でも中の御容子を拝もうとしている人々が、俄に何事が起ったのか、見る見るどっとどよみ立って、まるで風の吹き出した海のように、押しつ押されつし始めました。
三十
この騒ぎを見た看督長は、早速そこへ駈けつけて、高々と弓をふりかざしながら、御門の中へ乱れ入った人々を、打ち鎮めようと致しました。が、その人波の中を分けて、異様な風俗の沙門が一人、姿を現したと思いますと、看督長はたちまち弓をすてて、往来の遮をするどころか、そのままそこへひれ伏しながら、まるで帝の御出ましを御拝み申す時のように、礼を致したではございませんか。外の騒動に気をとられて、一しきりざわめき立った御門の中が、急にひっそりと静まりますと、また「摩利信乃法師、摩利信乃法師」と云う囁き声が、丁度蘆の葉に渡る風のように、どこからともなく起ったのは、この時の事でございます。
摩利信乃法師は、今日も例の通り、墨染の法衣の肩へ長い髪を乱しながら、十文字の護符の黄金を胸のあたりに燦かせて、足さえ見るも寒そうな素跣足でございました。