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よっぱらいぼし

酔っぱらい星

小川 未明

「赤い鳥」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,116 字 · 9 页

青空文庫

佐吉の家は貧乏でありましたから、ほかの子のように欲しい笛や、らっぱや、汽車などのおもちゃを買ってもらうことができなかったのです。

それで、ぼんやりとして路の上に立っていますと、あちらから、いい小鳥のなき声が聞こえたのです。圃には、花が咲いていましたから、その花を訪ねて、山から小鳥が飛んできたのだろうと思って、いいなき声のする方を見向きますと、おじいさんが、たくさんの鳥かごをさおの両方にぶらさげて、それをかついでこちらにやってきたのであります。佐吉は、そのそばに駈け寄ってみますと、かごの中には、名も知らないような小鳥がはいっていて、それがいい声でないていました。

佐吉は、笛や、らっぱや、汽車や、そんなようなおもちゃなどはいらぬから、どうかして、その小鳥が一羽ほしいものだと思って、そのおじいさんの後についていきました。いつまでも後についてくるので、おじいさんは、立ち止まって振り向きました。

「坊は、そんなに鳥がほしいのか。」といって、おじいさんは笑いました。

佐吉は、目を輝かして、黙ってうなずきました。すると、おじいさんは、肩からかごを下におろして、腰からたばこ入れを取り、きせるを抜いて、すぱすぱとたばこを喫いはじめました。