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よっぱらいぼし

酔っぱらい星

小川 未明

「赤い鳥」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,116 字 · 9 页

青空文庫

「佐吉や、お酒を買いにいってこい。」と、お父さんはいいました。佐吉は、びんを握って出かけました。雪が、凍っていました。空は青黒くさえて、星の光が飛ぶように輝いていました。雪路を寒さに震えながら町までいって酒を買って、佐吉は、また、路をもどってまいりました。

広い野原はしんとして、だれ一人通るものもなかったのです。黒い常磐木の森が向こうに黙って浮きでています。風が中空をかすめて、両方の耳が切れるように寒かったのであります。

このとき、不意に前に立ちふさがったものがありました。佐吉は驚いて見上げますと、おじいさんがにこにこ笑っていました。佐吉は、なんとなく、見覚えのあるおじいさんのように思いましたので、じっとその顔を見上げていますと、

「あ、寒い、寒い。酒を飲ましておくれ。」と、おじいさんはいいました。

佐吉は、びんを隠すようにして、「これはお父さんのところへ持っていかなければならぬのだから、おじいさんにあげることはできない。お父さんが、家で待っているのだから。」と、答えました。

「たまには、お父さんは我慢するがいい。今夜は、あまり寒くて、私はとてもやりきれない。