轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じゅうべえさんのいっか

重兵衛さんの一家

寺田 寅彦

「婦人公論 第十八年第一号」1933(昭和8)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,089 字 · 14 页

青空文庫

母や祖母は自分が亀さんと遊ぶことをあまり喜ばなかったらしい。亀さんは実際「行儀の悪い」子供であったろうし、また随分いたずらものでもあったらしい。草原の草を縛り合わせて通りかかった人を躓かせたり、田圃道に小さな陥穽を作って人を蹈込ませたり、夏の闇の夜に路上の牛糞の上に蛍を載せておいたり、道端に芋の葉をかぶせた燈火を置いて臆病者を怖がらせたりと云ったような芸術にも長じていた。月夜に往来へ財布を落しておいて小蔭にかくれて見ている、通行人があたりを見廻わしてそれを拾おうとするときに、そっと手許の糸を手繰ると財布がひとりでするすると動き出すというような深刻な教育法をも実行した事があったようである。こういう巧智はしかしことごとくが亀さんの独創によるものではなくて、大部分は重兵衛さんの晩酌時の講話の時に授かったものであった。重兵衛さんの寺子屋時代の悪戯にはずいぶん過劇なものもあったようである。

こういう、学校では教わらない悪戯教育も、今から考えてみると自分には色々な意味で有益であり貴重なものであったように思われる。人生行路に横たわる幾多の陥穽に対する警戒の芽生えを植付けてくれたような気がする。