轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぎくのはか

野菊の墓

伊藤 左千夫

「ホトトギス」1906(明治39)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,539 字 · 67 页

青空文庫

それがまた煤やら垢やらで何の木か見別けがつかぬ位、奥の間の最も煙に遠いとこでも、天井板がまるで油炭で塗った様に、板の木目も判らぬほど黒い。それでも建ちは割合に高くて、簡単な欄間もあり銅の釘隠なども打ってある。その釘隠が馬鹿に大きい雁であった。勿論一寸見たのでは木か金かも知れないほど古びている。

僕の母なども先祖の言い伝えだからといって、この戦国時代の遺物的古家を、大へんに自慢されていた。その頃母は血の道で久しく煩って居られ、黒塗的な奥の一間がいつも母の病褥となって居た。その次の十畳の間の南隅に、二畳の小座敷がある。僕が居ない時は機織場で、僕が居る内は僕の読書室にしていた。手摺窓の障子を明けて頭を出すと、椎の枝が青空を遮って北を掩うている。

母が永らくぶらぶらして居たから、市川の親類で僕には縁の従妹になって居る、民子という女の児が仕事の手伝やら母の看護やらに来て居った。僕が今忘れることが出来ないというのは、その民子と僕との関係である。その関係と云っても、僕は民子と下劣な関係をしたのではない。

僕は小学校を卒業したばかりで十五歳、月を数えると十三歳何ヶ月という頃、民子は十七だけれどそれも生れが晩いから、十五と少しにしかならない。