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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

「針目博士邸――いやこの研究所からとび出したQがねえ、きみ、道ばたで、アルミの屑かなんかをふとんにして寝ていたんだ。Qは金属だから、金属をふとんにしたほうが気持よく眠られる。そこで寝ていたところを、人がひろって屑金問屋へ持っていったんだ――いったんだろうと思う。Qは金属がたくさん集まっているので、いい気になって、その中に寝てくらしているうちにある日、熔鉱炉の中に投げこまれ、出られなくなった。そのうちに、鋳型の中につぎこまれ、やがて、かたまってお釜になっちまった。そうなると出ることができない。やむをえず、文福茶釜を神妙につとめたんだというわけ。そんなところだろうと思う」

博士は、まるで見てきたように、かたってきかせたのであった。もう時間は残りすくない。

Qの興奮

「文福茶釜が綱から落ちてこわれたのはどういう事情でしょう。あれは博士が何か器械をつかって茶釜を落としたといううわさもありますがね」

「そのとおり、博士、いやわしは、見物席にまじっていて、Qの運動の自由をうばう特殊電波を茶釜にむけて発射した。そこで茶釜は落ち、こわれてしまったというわけ。わしはあんなあやしげな見世物を、一日も早くなくしてしまわないといけないと思って、思いきってそれをやったのだ」