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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

また人骨の一片すら見あたらなかった。

もしや博士は地下室へでものがれたのではないかと、焼跡を残りなく二メートルばかり掘ってみたが、出てくるものは灰と土ばかりで、なんの手がかりもなかった。

「どうもこのようすでは、博士は爆発とともにガス体となり、屋根をぬけて空中へふきあげられちまったんじゃないかね」

川内警部は、おしいところで重大容疑者に逃げられてしまったという顔で、こういった。

長戸検事はしょんぼりと立ちあがった。

「みんな引揚げることにしよう。もうわれわれの力にはおよばない」

これをもって、お三根殺害事件をはじめ二つの怪傷害事件も、いまはまったく迷宮入りとなってしまった。

だが、事件捜査は、ほんとに終ってしまったわけではなかった。

その筋では、どういう考えがあったものか、この事件の捜査をこれまでどおり検察当局の手でつづけるとともに、それと平行して、私立探偵の蜂矢十六に捜査を依頼したのであった。

私立探偵蜂矢十六!

この若い探偵について、一般に知る人はすくない。しかし検察係官の中には、蜂矢十六を認めている人が、かなりある。かれの特長は、科学技術と取り組んでおそれないこと、かんがするどいこと、推理力にすぐれていること、それから、ひとたび獲物の匂いをかいだら、猟犬のように、どこまでも追いかけ、追いつめることなど