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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

ふたりは、小屋の中へはいってみた。

なかには、もちろん見物人はただのひとりも残ってはいず、この小屋の雑用をしているらしい老人が四、五名、のんきそうに舞台の上でタバコをすい、茶をのんでいるだけだった。

「おいきみ、興行主の雨谷君は、どこにいるのかね」

検事が、そういって、たずねた。

その筋の人だということは、老人たちにもすぐぴーんときたらしく、かれらはぺこぺこと頭をさげて、

「へい、だんな。雨谷さんは、さっき寝台自動車にのせられて、なんとか病院へ行きましたがね」

「どこか、からだの工合がわるいのかね」

「へい。なんですか、心臓が悪いとか、アクマがどうしたとかいってましたがね、あっしはよくみませんので。へへへへ」

茶釜小屋の終幕

その夜、小杉二郎少年が蜂矢のところをたずねてきたので、ひるま茶釜破壊の椿事があってからあとの、小屋のなかのようすがだいたいわかった。

「あの雨谷という茶釜使いの人は、たしかに気がへんになったようですよ。はじめは舞台の上にうつぶして、わあわあ泣いていたんですが、しばらくすると、むっくり起きあがりましてね、歌をうたい出したんです。それから踊るようなかっこうをしながら、綱わたりをはじめたんです。