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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

蜂矢探偵は、少年の労をねぎらったのち、ふと思い出したかのように、

「あれはどうしたろうか。問題の文福茶釜の破片はどうしたろう」

「ああ、それはですね。ひとつだけぼくが拾ってきましたよ。いま持ってきます。」

二郎は玄関へ行ったが、まもなく風呂敷包を持って引き返してきた。

「場内でひろったんですが、たしかにこれは二十世紀文福茶釜の破片の一つです。よく見てください」

「これが、そうなのかい」

蜂矢は、その破片を手にとって、いくども裏表をひっくりかえして見いった。この破片は、釜のごく一部分であるが、釜のつばもついていた。

「このほかに、茶釜の破片は落ちてなかったんだろうか」

「さあ。落ちていたかもしれませんが、ぼくの目にとまったのは、これだけでした」

「そうかい。とにかくこれはいいものを拾って来てくれた。これは、ぼくのところに保管しておくが、ひょっとすると今夜あたり、これがコウモリのように空中をとびまわるかもしれないね」

「えっ、なんですって」

「いや、なんでもないよ」

蜂矢は、あとをいわなかった。それはじぶんの想像のために、小杉少年を不必要にこわがらせてもいけないと思ったからである。