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きんざんそうわ
金山揷話
大鹿 卓
「中央公論」1939(昭和14)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,736 字 · 22 页
「ひと汽車遅らして、札幌で見送ってやるとよかったが、そうするとおれ達は名寄かどこかで泊ることになってしまうのでね。ゆうべ土田が、代表して送るといってたから頼んどいた。それでいいとしようや」
「そりゃ、土田が見送ってくれれば……」
「市岡の持っていた鉱山が五つ六つある筈なんだよ。そんなもの、細君や弟が何処かへ売り込もうとしたって、どうせブローカー仲間にいいように騙されてしまうにきまっている。おれもどんな鉱山か全く知らないが、まとめて不見転で買いとってやろうかと思っている。細君や弟の意向をきいとくように、佐々木に頼んで置いたが……」
「それなら、まとまってかねが入るわけだから、遺族の人達も助かるだろう」
私はうなずきながら、何気なく、森山が座席へ置いた新聞をとりあげた。すると偶然、阿寒国立公園に探鉱者殺到、という記事が目に触れた。最近国立公園区域でも鉱区が許されるという法令が出て以来、すでに有望視される鉱脈が相当に発見されたと書いてあって、林間に天幕を張って探鉱に従っている写真版まで添えてあった。私はそれを森山の前へ差し示し、
「いよいよ徳川家康の山例だ」
「うむ、たとい名城の下たりとも、※うち有之に於いては掘採苦しからず候、か」