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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

13 宙に浮く屍骸

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,907 字 · 32 页

青空文庫

」文字若を振り返った、「まだ新しいところを見ると、昨日あたり、ここの敷居へ胡麻油を引かなかったか、師匠、お前は知らねえかえ。」

「そう言えば、古い家で建付けが狂っているので戸滑りが悪いとか言って、きのう姉が、じぶんで油壺を持ち歩いて方々の敷居に落して廻っていたようですよ。」

「違えねえ。」

頷いた藤吉は、ちらと勘次に眼配せして退路の障子ぎわを断たせると、ずいと三人の前に立ちはだかって、冷徹な低声だった。

「おうっ、三人とも足を見せてくんな、足をよ。」

唐突にこの奇抜な注文――びっくりしているところ、藤吉はすぐに畳みかけて、

「宙乗りしていた屍骸の足は、たしかに素足だったのう。間違えあるめえのう。」

「とんでもない! 見間違いなど、決してそんなことはございません。はい、わたしもこの宇之吉さんも、はっきり見たんでございますから――へえ、素足でございました。立派にはだしでございました。へえ。」

「そうけえ。その素足の件で、おいらあちっとべえ不審を打ったことがあるんだ。おお、揃って素足になってみな。」

「素足になるんでございますか、私ども三人が。」

おずおず訊き返した初太郎を、藤吉は噛みつくように呶鳴って、