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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

03 三つの足跡

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,625 字 · 26 页

青空文庫

一緒に考えて下せえよ。やい、勘、彦、手前たちも聞いておけ。――足袋屋じゃねえが、ここに足形が三種ある。一つあ死人の高足駄で左手から蔵へ、こりゃあ夜中の雨の最中に付いたもの。あとの二つはお内儀の日和と松さんの草鞋で、共に一時前に騒ぎ出した節踏んだとわかる。こちとらと小僧のは裸足だから苦もねえが、さてはいった足形ばかりで出た跡のねえのが、のう皆の衆、ちっとべえ臭かごわせんかい。」

「雨の降る前にここへ来てまだ隠れん坊している奴でも――。」

味噌松が言いかけた。藤吉は横手を拍った。

「そこだっ、松さん。お前はなかなか眼が利くのう。彦、蔵から母家から残らず塵を吹いてみろ。飛ん出たら声を揚げろ。怪我しめえぞ。」

「あっしは? 親分。」

「勘次。お前は立番だ。俺と松さんとでちょっくらお神を白眼んでくる。松さんがいりゃあ勘なんざかえって足手纏い、そこに立ってろ。」

「へえ。」

「誰も入れるな。」

「ようがす。」

勘次は不平そうに彼方を向いた。彦兵衛は家探しに蔵へはいった。

「親分、御洗足を。ま、泥だけお落しなすって――。」

味噌松が勝手口から盥を出した。が、

「すまねえのう。」