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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
06 巷説蒲鉾供養
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,319 字 · 29 页
上へ寝かし河岸で小用を足して帰って見るともうなかったというのでただちに大騒ぎして捜したが元よりそこらに転がっていべき道理もない。
これらの話を安針町裏店の井戸端で聞き込んで来たと彦兵衛が言った時、藤吉は、
「井戸?」
と何か気になるような様子だったが、
「二十五に二十五に十三に一つ――か。」としばらく考え込んで、「女の頬にこの呪文――お、そりゃあそうと、あの高札のこったがの、あんなべら棒な物を立てやがった張本人はいったいどこのどなた様だか、彦、御苦労だがお前ちょっと嗅いで来てくんろ。」
「へえ。だがなんでも町年寄だと――。」
「おおさ、その年寄に俺あちっとべえ知りてえことがあるんだ。」
彦兵衛は腰を浮かせた。
「勘。」と藤吉は振向きもせずに「われも行け。」
「ようがす。」
と、
「惑信!」
呻くように藤吉が言った。
「え?」
二人は振り返る。またしても、
「惑信!」
「何とかおっしぇえましたかえ?」
「うんにゃ、よくあるやつよ。こりゃあどうも惑信沙汰に違えねえて。」と半ば独言のように藤吉は憮然として、「今日は酉だのう?」
「へえ――山の神には海の神、おおそれありや。へんかたじけねえや、だ。