轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
07 怪談抜地獄
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,998 字 · 32 页
に片袖通したりしたのを今日一日の土産にして、それぞれ帰路についたのであった。
さしもの雨も残りなく晴れ渡って、軒の雫に宵の明星がきらめいていた。月の出にも間があり、人の顔がぼんやり見えてなんとなく物の怪の立ちそうな、誰そや彼かとゆうまぐれだったという。
ちょっとでも江戸を出りゃあ、もう食う物はありませんや、という見得半分の意地っ張りから、蔵前人形問屋の若主人清水屋伝二郎は、前へ並んだ小皿には箸一つつけずに、雷の怖さを払う下心も手伝って、伴れ出しの一本たちを相手に終日盃を手から離さなかった。父親の名代で交際大事と顔を出したものの、元来伝二郎としては品川くんだりまでうまくもない酒を呑みに来るよりは、近所の碁会所のようになっている土蔵裏の二階で追従たらたらの手代とでもこっそり碁の手合わせをしているほうがどんなにましだったか解らない。好みの渋い、どちらかといえば年齢のわりに落ち着いた人柄だった。それというのも養子の身で、金が気ままにならなかったからで、今に見ろ、なにかでぼろく儲けを上げて、父親や母親を始め、家つきを権に被ている女房のお辰めに一鼻あかしてやらなくては、というこころがなにかにつけて若い彼の念頭を支配していたのだった。