轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

09 怨霊首人形

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,598 字 · 26 页

青空文庫

京の紅染めの向うを張って「鴨川の水でもいけぬ色があり」と当時江戸っ児が鼻を高くしていた式部好みの江戸紫、この紫染めを一枚看板にする紺屋を一般にむらさき屋と呼んで、石町、中橋、上槇町、芝の片門町など方々にあったものだが、中でも老舗として立てられて商売も間口も手広くやっていたのが岡崎町も八丁堀二丁目へ寄った桔梗屋八郎兵衛、これは日頃藤吉も親しくしている家、合点小路から海老床へ抜けるとつい眼の先だ。虫の報せか藤吉勘次、近づくにつれて自然と足の運びが早くなった。

通りへ出た。

と見る、桔梗屋の店頭、一団の群集が円陣を描いて申し合せたように軒の端を見上げている。出入りの鳶らしいのや店の者が家と往来を行きつ戻りつして、いかさま事ありげ――。

今は小走りに駈けながら、人々の視線を追ってその集まる一点へ眇を凝らした八丁堀、なにしろ府内に名だたる毎度の捕親だ、あらゆる妖異変化に慣れきって愕くという情を離れたはずなのが、この時ばかりはぎょっとした瞬間、前へ出る脚がいたずらに高く上って、親分藤吉、思わず一つ地面で足踏みした。

「勘の字、見ろ!」

「何ですい、ありゃあ?」