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てつのきりつ

鉄の規律

平林 初之輔

「新青年 第一二巻第一〇号」1931(昭和6)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,016 字 · 30 页

青空文庫

君のいま言った正義党のお伽噺とよく似とるよ、ははは――」

このとき卓上電話のベルが鳴った。露木は受話器をとりあげて耳にあてた。

「はあ、そうです、はあ、では、ちょっとお待ち下さい」

彼は送話口を手でおさえて局長を振り返った。

「警視総監からお電話です。閣下に直接にお話し申し上げたいとのことで……」

局長は立ったまま、上体をかがめて、机の上に片手で頬杖をつきながら、片手で受話器を受けとった。

「もし、もし、私が遠山……ふむ……ふむ……なるほど、今日ですな、どこでどうしてということはわからんのですな、実はこちらへも脅迫状が来ていていま読んだところですがね。ただの悪戯の脅迫ですよ。何ができるもんですかい、貴方の方では一体どうしてそのことがわかったんかね。……ふむ、何、正義党の本部へ派遣してあるスパイからの報告で、すると正義党というものはあるにはあるんですな……ふむ……いや何それには及びませんよ。……ふむ……不思議ですな、本部へスパイが入りこんでいて、本部のありかがわからんなんて……何……あなたの方へも? むこうから? つまり、正義党からも警視庁へスパイがはいっていて警視庁の活動方針がいちいち向こうへ知れるんですって……信じられんですな……ふむ……いやどうも有り難う、さよなら」