轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かなづち

鉄鎚

夢野 久作

「新青年」1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,659 字 · 62 页

青空文庫

高い天井のステインドグラスから落ちて来る光線が、青ずんだ湯の底の底まで透きとおして、見事に彫刻した白大理石の浴槽から音も立てずに溢れ出していた。その中に私が先に走り込んで掻きまわすと、その光りが五色の鳥だの金銀の魚だのが入り乱れたように散らばって、その上から一面にモウモウと湧き立つ湯気のために、四方を鏡で張り詰めた室の中が薄暗くなってしまった。

私は、その湯の中にフンワリと身体を浮かして、いい心持ちにあたたまり初めた。その間に、のぼせ性の彼女は何度も何度も湯から出たり這入ったりしていたが、間もなく浴槽の外で男のように突立って、肉付きのいい身体をキュッキュッと洗いながら、突然にこんな事を云い出した。

「叔父さんは自分が死ぬまで、あなたに相場をやらせない……財産も譲らないって云っててよ……」

「当り前だ……」

と私は面倒臭そうに答えた。少々睡くなりかけたところを邪魔されたので……。

「……死んだってくれやしないよ……」

「そうじゃないわよ。あなたは正直で、頭がよくて……」

「馬鹿にするな……」

「いいえ。まったくよ……俺よりも仕事が冴えている上に、今の財産は愛太郎のお蔭で出来たようなもんだから、跡を継がせるのは当り前だって……」