轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぎんざのあさ
銀座の朝
岡本 綺堂
「文芸倶楽部」1901(明治34)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,520 字 · 3 页
新聞配達は、相前後して忙しげに人道を行違う、時はいま午前三時。
築地海岸にむかえる空は仄白く薄紅くなりて、服部の大時計の針が今や五時を指すと読まるる頃には、眠れる街も次第に醒めて、何処ともなく聞ゆる人の声、物の音は朝の寂静を破りて、商家の小僧が短夜恨めしげに店の大戸がらがらと明れば、寝衣姿媚きてしどけなき若き娘が今朝の早起を誇顔に、露ふくめる朝顔の鉢二つ三つ軒下に持出でて眼の醒むるばかりに咲揃いたる紅白瑠璃の花を現ともなく見入れるさま、画に描ばやと思う図なり。あなたの二階の硝子窓おのずから明るくなれば、青簾の波紋うつ朝風に虫籠ゆらぎて、思い出したるように啼出す蟋蟀の一声、いずれも凉し。
六時をすぎて七時となれば、見わたす街は再び昼の熱閙と繁劇に復りて、軒をつらねたる商家の店は都て大道に向って開かれぬ。狼籍たりし竹の皮も紙屑も何時の間にか掃去られて、水うちたる煉瓦の赤きが上に、青海波を描きたる箒目の痕清く、店の日除や、路ゆく人の浴衣や、見るもの悉く白きが中へ、紅き石竹や紫の桔梗を一荷に担げて売に来る、花売爺の笠の檐に旭日の光かがやきて、乾きもあえぬ