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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

国枝史郎『銅銭会事変 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銅銭会事変、大鵬のゆくえ、紅白縮緬組、三甚内。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 页

青空文庫

「ふうむ、そうか、知っているのか。……ひとつそいつを話してくれ」ピタリと甲斐守は坐り直した。

そこで弓之助は昨日、上野山下一葉茶屋で、怪しい振る舞いをした町人のことと、老武士のこととを物語った。じっと聞いていた甲斐守は、一つ大きく頷いた。

「いやよいことを教えてくれた。ついては弓之助頼みがある。これから大至急谷中へ行き、大岡侯の下屋敷へ伺候し、その老体と面会し、もっと詳しく銅銭会のことを、聞き出して来てはくれまいかな」

「はい、よろしゅうございます。しかしはたしてその老人、会って話してくれましょうか」

「俺から書面をつけることにしよう」

「へえ、それでは叔父様は、その老人をご存知で?」こう弓之助は不思議そうに訊いた。

銅銭会縁起録

「さよう」といったが曖昧であった。

「まず知っているとして置こう。あの老人は人物だ。徳川家の忠臣だ。しかし一面囚人なのだ。同時に徳川家の客分でもある。捨扶持五千石をくれているはずだ。まずこのくらいにして置こう。書面が出来た。すぐ行ってくれ」

「はい、よろしゅうございます」

書面の面には京師殿と、ただ三文字書かれてあった。

書面を持って飛び出した。