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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
国枝史郎『銅銭会事変 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銅銭会事変、大鵬のゆくえ、紅白縮緬組、三甚内。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 页
流星地上に落ちるかと見えたのは抜き打ちに払った刀の閃めきで、「あっ!」と叫んだのは切り込んで行った武士。悉くそれが同時であった。生死は知らず地上には一人俯向きに仆れている。
「朋輩の仇!」
と、声もろともに、左右から二人切り込んだ。
「やっ!」「やっ!」とただ二声。それで勝負は着いたのである。地上には二人の白縮緬組が刀を握ったまま仆れている。
後に残った七人は、一度に刀を手もとに引いて、身体を守るばかりであった。
その時、ヒラリと駕籠の垂れが、風もないのに飜えったかと思うと、電光のように飛び出して来たのは白毛を冠った犬であった。
「やあ、お犬様だ!」
と、白縮緬組は、驚きの声を筒抜かせた。
五
さすがは名犬、源氏太郎は、早速には飛びかかっても行かなかった。鼻面を低く地に着けて、上眼で敵を睨みながら、陰々たる唸りの声を上げ、若衆の周囲を廻り出した。相手を疲れさせるためでもあろう。
若衆は刀を下段に構え、廻る犬に連れて廻り出した。時々「やっ」と声を掛けて犬に怒りを起こさせようとする。誘いの隙を見せた時、犬は虚空に五尺余りも蹴鞠のように飛び上がったが、パッと咽喉もとへ飛びかかる。