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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

国枝史郎『銅銭会事変 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銅銭会事変、大鵬のゆくえ、紅白縮緬組、三甚内。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 页

青空文庫

投げ捨てた刀を拾い上げ、パチリ鞘に収めてから袴の塵をハタハタと払い、

「千代はどうした。見て参れ」

「おおそうじゃ。お嬢様……」

行きかかる時、人家の軒から、粛々と進み出た三人の武士。その三人に囲まれながら、頸垂れて歩むのは女であった。

「千代か?」と若衆は声をかけた。

「あいや暁杜鵑之介殿。お妹ごまさしくお引き渡す間、その女人こちらへお譲りくだされい」

三人の武士のその一人が、ツカツカと前に進み出ながら、慇懃の言葉でこういった。

「何人でござるぞ? そう仰せらるるは?」

若衆も前へ進み出た。ぴったり二人は顔を合わせたのである。

武士は言葉を潜めたが、

「北条安房守配下の与力、鹿間紋十郎と申す者でござる」

「む。ご貴殿が鹿間殿か――してあの女人は何人でござるな?」

「あれこそ、お伝の方でござる」

「…………」

若衆は無言で頷いた。そうして改めて女人を見た。

「いかにもお譲り致しましょう」

「お譲りくださるか。忝けない。いざお妹ごをお渡し申す」

「千代、袖平、参ろうかの」

悠然と若衆は歩を運んだ。

六

「由井殿!」

と、不意に、紋十郎は、若衆の後から声を掛けた。