轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さっかくすうだい
錯覚数題
寺田 寅彦
「中央公論」1933(昭和8)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,152 字 · 18 页
真に入神の技であると思って、深い印象を刻みつけられたことであった。あやつり人形の糸の代わりに空気の渦を使っているのだから驚く価値があるのである。これもやはり錯覚を利用する芸術である。
それが、昭和八年の夜店に現われたところを見ると、昔の紙の障子はセルロイドの円筒形スクリーンに変わっている。売り手のよごれた苦いじいさんは、洋服姿のモダンボーイに変わっている。しかし団扇の使い方に見られたあの入神の妙技はもう見られない。獅子はバタバタとチャールストンを踊るだけである。なるほどこのほうがほがらかで現代的で見るのに骨が折れない。一目見れば満足して次の店に移って行かれる。忙しい世の中に適している。
大正から昭和へかけての妙技無用主義、ジャズ・レビュー時代がどれだけ続いて、その後にまた少し落ち着いてゆっくり深く深く掘り下げて洗練を経たものが喜ばれ尊重される時代が来るか、天文学者が遊星の運動を観測しているような、気長い気持ちで見ているのもまた興味のないことではない。
(昭和八年八月、中央公論)