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さこつ
鎖骨
寺田 寅彦
「工業大学蔵前新聞」1933(昭和8)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,945 字 · 6 页
学校でも教わったかもしれないが、教わらなかったような気がするし、また新聞雑誌などではとかく役にも立たない事や悪い事ばかり教わっても、この大切な事だけはどうも教わらなかったような気がする。教育が悪かったのか、自分の心がけが悪かったのか、両方が悪かったかである。こんなだいじなことは学校でも新聞でも三日に一ぺんずつ繰り返して教えていいかと思う。
天佑と名医の技術によって幸いに子供は無事に回復した。骨の折れたのも完全に元のとおりになるのだそうである。
鎖骨というものはこういう場合に折れるためにできているのだそうである。これが、いわば安全弁のような役目をして気持ちよく折れてくれるので、その身代わりのおかげで肋骨その他のもっとだいじなものが救われるという話である。
地震の時にこわれないためにいわゆる耐震家屋というものが学者の研究の結果として設計されている。筋かい方杖等いろいろの施工によって家を堅固な上にも堅固にする。こうして家が丈夫になると大地震でこわれる代わりに家全体が土台の上で横すべりをする。それをさせないとやはり柱が折れたりする恐れがあるらしい。それで自分の素人考えでは、いっその事、どこか「家屋の鎖骨」