轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かがみのなかのつき
鏡の中の月
宮本 百合子
「若草」1937(昭和12)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,290 字 · 15 页
そして、ハンケチで生え際を押えながら、瀧子が、
「あなた、狭谷町の山口さんから、何か話きいているの?」
と言い出すや、
「アラ、もう聞いているの」
いかにも他意なくはしゃいだ口調で、ゆき子は、
「でも私、実は困っちゃっているのさ」
人のよい、嘘のつけない当惑の皺をよせた。
「あの山口さんてひとは、信用もあるし、よく出来た男なんだけれど、どうも一つこまったことがあってね、そいであなたのことをたのまれながらつい渋っていたの」
瀧子は、我知らず団扇づかいを早めながら、
「ゆうべ、来たんですよ、突然」と云った。
「へえ。そうお? 元の細君だった女が、どんな女でも入れてみろ、きっと出してみせるって言っているっていう話があるんでね」
真面目な友情から、ゆき子は「私、山口さんに言ったのさ、その点はどうなんですって、をれをはっきり整理してからでなけりゃ、私としては瀧子さんには話がもち出せませんて言ったんだのに――ふーん、行ったの!」
ゆき子の好意はよくわかったし、それを出しぬいてひとり暮しのところへ直接来た山口の心底に何かいやな押しづよさが感じられるのであるが、元の妻であった女がそんなことを言っているということも、滑稽じみて莫迦らしかった。