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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
長谷川伸『長谷川伸傑作選 瞼の母』。同一底本的分册已合并为一书。收入:瞼の母、一本刀土俵入 二幕五場、沓掛時次郎 三幕十場、中山七里 二幕五場。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,753 字 · 192 页
第二場 中山七里(引返)
さもねえと俺のしたことが無駄になる。筏橋の方へ早く行け、それからの道案内は俺がする。
徳之助 (おなかを連れて必死に逃げて行く)
政吉 (倒れている文太郎に注目し、殿りの積りで、そろそろ引揚げかかる)
文太郎 野郎っ、やりやがったな。(起ちあがる)
政吉 (文太郎の襟に手をかける)
文太郎 やっ政か、政吉だなっ。
政吉 ジタバタするねえ。(絞殺しかける)
作蔵、高太郎、百松、その他、何事かと飛び出して見る。
政吉は文太郎を絞殺するに隙なく逃げ去る。
作蔵等、文太郎の周囲に集まる。
「水を持って来てやれ、水だ水だ」という者がある。
作蔵 (独り離れて)俺あ厭だ、文太郎の奴では、水もやるのは惜しい。
文太郎 (よろめいて起ち)野郎ッ逃げたな――逃がすものか。(政吉等の去れるとは、反対の方へよろめいて歩く)
一同、あっ気にとられて見ている。
作蔵のみは冷嘲している。
第二場 中山七里(引返)
南飛騨の勝景、中山七里の一部。前の日よりも一両日余り過ぎ、満山の紅葉、今を盛りと色づいている頃。
益田川の清流に臨みし細き街道、川沿に奇巌怪石がある。
ところどころ松の木、紅蔦のからまれるものもある。