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かんちょうざじけん
間諜座事件
海野 十三
「日曜報知」1932(昭和7)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,989 字 · 21 页
「毎夜、観客の中に百人近くの密偵が交っているということだ。そして何か秘密の方法で、舞台上の首領と通信をしているそうだ」
「首領よりか副司令のあの小娘が恐ろしいのか」
「そうだ。あの小娘は悪魔の生れ代りだ」
「するとあの副司令を今夜のうちに、こっちの手でやッつける手筈になったんだな」
「ウン。――どうしてやッつけるかは知らないが、副司令のやつ、義眼を入れてレビュー・ガールに化けているてぇことを、嗅ぎつけられたが運の尽きだよ。おお、もう五時半だ。あといくらも時間が無いぞ。さア出発だ」
弦吾は腰をあげた。
「おっと待ちな、冷いながら酒がある。別れの盃と行こう」
同志帆立は、押入の隅から壜詰を取出した。汚れたコップに、黄色い酒がなみなみとつがれた。
カチャリ、カチャリ。
「地獄で会おうぜ」
「世話になったな」
4
部屋を出ようとするときだった。
ブ、ブ、ブブー。
卓子の裏に取付けたブザーが鳴った。
「ほい。XB4が呼んでいるッ」
弦吾は室内に引返した。壁をポンと開くと嵌めこんだような超短波の電話機があった。
「QX30だ」
「こっちは、XB4だ」と電話機の彼方で小さい声がした「報告があったぞ、いよいよ動員指令が下ったそうだな」