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とうそう

闘争

小酒井 不木

「新青年」1929(昭和4)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,079 字 · 38 页

青空文庫

それから、たしか身体を、こう捩じて、下へたおれ、こう言う風に横わりました」

こう言って一々その動作を示した。

「宜しい。恐入りますが、もう一度やって見て下さいませんか」

更に再び実験が行われた。

「横わった時の姿はそれに変りはありませんか」

「それはたしかに記憶して居ります」

「よろしゅう御座います。元の部屋へお帰り下さい」

こう言って先生は福間警部をよんで緑川を連れ去らせた。

「涌井君。君は昨日北沢家へ調べに行った時、福間警部に北沢がどんな風に死んだかを演って見せたね」

「はあ」

「そうだろうと思った」

やがて福間警部が戻って来ると、

「福間君。白状というものは、こちらから教えてさすべきものでないよ。むこうの言うことを黙ってきけばいゝのだ」

「緑川が何か言いましたか」

「いま緑川に実演させたら、君が教えたとおりにやったゞけで本当のことをやらなかったよ。あんな飛び上り方なんて、まったく嘘だ。たゞ、横わってからは本式だった。本人も、飛び上ってから、身体を捩じてたおれるまでは、どうも興奮してよく覚えて居りませんと言いながら、横わった姿だけはっきり覚えて居るんだ。緑川の自白は虚偽だよ」