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あなんとじゅじゅつしのむすめ
阿難と呪術師の娘
岡本 かの子
「読売新聞」1928(昭和3)年5月6日~6月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,425 字 · 58 页
諸天のA ――何しろあの男は生れが上品だし、年は若いし。きりょうはよし。その上心根が優にやさしいと来て居る。女に思いつかれる資格はみんな揃って居る。どうしたって女難はまぬかれぬ処だ。
神将のA ――僧侶で美男は罪作りだ。自分から女を迷わせて置いて、迷ってはいけないというのだからな。
諸天のB ――丁度店先きの拵えものの菓子の見本のようなものだ。喰べたがらして置き乍ら、いざ取って喰べようとなると歯にかっちりだ。女ならずとも誰でもまごつくに極って居る。
神将のB ――それに引かえ俺達は安心なものだ。どう見ても女子供の寄り付く柄ではない。
諸天のA ――だから仏様が、ちゃんと箝まった役をふって下さる。
神将のB ――鎧甲冑に身を固め、男女の仲を割きに行く。法の為とは云いながら、随分野暮な役割だ。
目※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)連 ――阿難の奴め、すっかり弱りきった。じたばた騒いで居る。
諸天のB ――阿難の弱った姿がまた美しい。あれは騒げば騒ぐほど美しくなる。だから娘もいよいよやり切れまいて。
神将のC ――われ等の教主釈迦牟尼世尊は美しくまします。