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あなんとじゅじゅつしのむすめ

阿難と呪術師の娘

岡本 かの子

「読売新聞」1928(昭和3)年5月6日~6月19日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,425 字 · 58 页

青空文庫

その三

小間)

その三

(あたり少しく鳴り響き、目※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)連が先きに立ち阿難と娘が入って来る。阿難はしおしおして居る。娘は阿難に寄り添うように追いて来る、目※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)連は釈尊の姿が眼に入るや、直にその前に来て正しく立ち三拝する。阿難と娘は隔たった端に局竦まり、首を地から上げ得ない。)

目※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)連 ――師よ、阿難を連れて戻りました。

釈尊 ――御苦労であった。

目※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)連 ――ここに居るのが呪術師の娘で御座います。わたくしの威神力をもってしても、どうしても阿難からこの娘を離す事が出来ないので御座います。

釈尊 ――いや、強いて今離すには及ばぬ。

(しばらく沈黙の時間が舞台を占める。その間に阿難はしばしば気を引立てて釈尊に何か訴え出でようとする様子であるが、自分が自分を阻めて打ち出し得ない。遂にしくしく泣き出す。阿難の泣くのを見て娘も悲しくなり袖を眼に当てる。)

釈尊 ――阿難よ。何うした。

(師に始めて言葉をかけられたので阿難はどっと泣き出す。