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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

在线阅读泉 鏡花《陽炎座(かげろうざ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,381 字 · 67 页

青空文庫

「あい、」と手を支く。

「そりゃ、」

と徳利を突出した、入道は懐から、鮑貝を掴取って、胸を広く、腕へ引着け、雁の首を捻じるがごとく白鳥の口から注がせて、

「わりゃ、わなわなと震えるが、素膚に感じるか、いやさ、寒いか。」と、じろじろと視めて寛々たり。

雪女細い声。

「はい……冷とうござんすわいな。」

「ふん、それはな、三途河の奪衣婆に衣を剥がれて、まだ間が無うて馴れぬからだ。ひくひくせずと堪えくされ。雪女が寒いと吐すと、火が火を熱い、水が水を冷い、貧乏人が空腹いと云うようなものだ。汝が勝手の我ままだ。」

「情ない事おっしゃいます、辛うて辛うてなりませんもの。」

とやっぱり戦く。その姿、あわれに寂しく、生々とした白魚の亡者に似ている。

「もっともな、わりゃ……」

言い掛けた時であった。この見越入道、ふと絶句で、大な樽の面を振って、三つ目を六つに晃々ときょろつかす。

幕の蔭と思う絵の裏で、誰とも知らず、静まった藤の房に、生温い風の染む気勢で、

「……紅蓮、大紅蓮、紅蓮、大紅蓮……」と後見をつけたものがある。

「紅蓮、大紅蓮の地獄に来って、」

と大入道は樽の首を揺据えた。