轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かいだん

階段

海野 十三

「新青年」博文館、1930(昭和5)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,588 字 · 32 页

青空文庫

僕は思った。初対面の愛敬をうかべて上を仰いだ僕は鼻の先一尺ばかりのところに現われた美しい少女の面を見つめたまま急に顔面を硬直させなければならなかった。

「図書係の京町ミチ子嬢。こちらは今日から入所された理学士古屋恒人君。よろしく頼むよ」四宮理学士の声は朗らかであった。

「あらまあ、あたし初めてお目にかかってたいへん失礼をいたしまして……」と彼女は紹介者に負けず朗らかに謳った。僕はなんと挨拶をしたのか覚えていない。ただ「初めてお目にかかって」と言ったミチ子嬢が、本当に、信濃町でこの半年あまり毎日のように彼女の白い脛を追い廻している僕に気がついていないのであろうかどうかを何時までも気にしていた。

翌日から僕は新しい希望と新しい焦燥とを持って、自分の研究室へつめかけた。だが、落付いた気持で研究室に坐っていることは出来なかった。幸い、早く研究題目を所長の芳川博士へ報告する必要があったので、その調査に名を借りて、しばしば図書室へ通った。その室には廊下から入れる戸口があったにも拘らず、知らぬ顔をして研究事務室の扉を先ず押して入り、それから又も一つの扉を押して隣りの図書室へ入った。