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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 页
母性の分別が勝っている半面、王朝女性の貞操観がここに見える。
貞操の点では、静は清冽だ。白拍子といえば、浮いた社会の出だが、義経以外の男性は知らない。鎌倉に監禁されている間、一夕酒の座に侍らせられ、梶原のドラ息子に、口説かれたりしたこともあるが、手強く撥ねつけたばかりでなく、これを讒者の片割れと見て、面罵している。いうならば後世の、辰巳芸者の歯切れのいい啖呵と意気地に生きた趣がある。
人も知る鶴ヶ岡では、頼朝夫妻から鎌倉大小名のまえで、義経を恋いに恋う想いを、怯みもなく舞って歌うなど、常磐以前の女性にはない気だてだった。きっと、長い世代、戦と男どもに、虐げられ、抑えられ続けてきた女の鬱憤が、女の唯一な“貞操の誇り”を象どった、静の姿に、昇華したものであったろう。
偶然だが、義経という人は、周囲に持った女性までが、数奇な運命や、華やかさを、みな共にしている。常磐は生みの母だし、静は妾といえ、妻以上な者だった。だのに、その静が、鎌倉に囚われているのに、救い出すことも出来なかったのだから、男としては断腸、どれほどだったろうか。
どうも、壇ノ浦以後の義経は、意気地がなさすぎる。