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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

在线阅读吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 页

青空文庫

こんどの「石船の巻」も、説明しては、おもしろくなくなるが、神戸開港の先駆をなした清盛の経ヶ島港のくだりを、巻の名としたものである。

あの時代に、築港という至難な事業をあえて興して、日宋文化への大きな交流の門をひらいた清盛の国際的意欲は、それだけでも、偉なりといっていい功績かと思う。

ところが、古典平家やその他の諸本にも、彼のそうした半面は、ほとんど、没却されている。福原の雪ノ御所は、彼の単なる逸楽と、政治的な逃避場所にしか書かれていない。

「石船の巻」の巻名は、多少、彼の心事をシンボルしているかと思う――それの再校訂をすましたり、週刊の原稿を一、二回書きためたりして、ぼくは、京都へ出かけた。雑多な私用だの、史蹟歩きの目的を持って、十日余りを、近畿附近の旅に今、過ごしている。

ちょうど、滞在中の四月十三日には、神戸市で清盛祭が行われる。神戸の開港記念何十年祭かに当るらしい。

主催の市と神港新聞社から、ぜひ、ぼくにも参会するようにという、すすめもあった。行かなくては、清盛氏にたいしても、ぎりのわるい気がしたが、十三日には、やむをえない予定があって、いまのところ見当がつかない。