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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
在线阅读吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 页
宿に、荷物をおいて、お茶をひと口、すぐにまた厳島神社へと歩く。明朝の時間がないからとのこと。権宮司の田島仲康氏が待ちうけていてくださる。東廻廊の夕風寒いあの長い廊を、一同、おあとに従う。
厳島建築の特色は、海潮に脚を浸して幾曲がりしている東西の長い廻廊と、百八間のあいだ一定間隔に立っている朱の柱にある。おなじみの海中の大鳥居は、その廻廊のどこから振向いても姿態がよい。距離、大きさ、こことのバランス、そして平安朝末期としては、思いきった着想の新しさ。ぼくらのくせで、余りに見馴れた風致や絵画的な工芸美には、すぐ「古い」と片づけやすい観念が妨げて来るが、これほどな建築や自然の風致を、“陳腐な感激”としていられるぼくらは、思えば贅沢な庭園を持つ人種ではある。
厳島構成のスケールは全建築を、海と山に跨がせているところに、おもしろさと大きさがある。
客神社も、朝座屋も、一路廻廊に添って、独立した屋根屋根をもち、西廻廊の建物と、中央の本社と、その拝殿に向かいあって海中に突出している舞殿、楽房などを綜合して、ひとつの締めくくりがついている。その全体を、裏山からのぞき下ろされても、破綻を見せない用意もあったにちがいない。