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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
もう一度話しあってみようか。泣いた浜子にはやはり思い捨てられないものがあるような気がする。頭からどなってもよかったものを、大人顔して最初にかまえすぎて冷静を装ったのがいけなかったのかもしれぬ。
――浜ちゃんよ、おばさんゆうべ一ばん考えてね、やっぱりあんた、当分うちにいた方がよかろうって結論をひっぱり出したんだけどね……
そんな風にきり出して、話の進行中、ことによったらどなってみよう。それで泣いたら、しめたものだ。彼女のようなはっきりものをいう女がうちにいるということは、音枝にしたって、彼女のねむりこみそうな青春を刺激されて、いいかもしれない。そうだ、そうだ。――
安江はとびおきた。とび起きたりすることは医者からもとめられているのに、何事かあるとつい忘れてしまって、そんな風になるのが安江のくせである。きげんのよい顔で出てゆくと、ネッカチーフで頭を包んだ音枝がひとり、ほうきとはたきを前においたままけさきた郵便物の中からとり出したらしい婦人雑誌によみふけっていた。
「なんだよ、そのかっこう。」
「あら。だってさ、一分でもたくさんおかあさんをねかしとこうと思ってさ。