轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

ところがよく聞くと、彼はその米を買いとってくれといっているのだ。

「買うも買わないもあんた、いらなきゃうちでとりますよ。どうせやみ米買うんだから。」

音枝にすれば、すむもすまないもない。袋も代金も立替なのだから、いらなきゃそのままもってくればよいと思う。ところが進君の考えは、大分ちがっている。彼はまた耳のうしろをかきかき、

「あのう、わるいんですけど、その、やみ値で買ってください。おねがいします。」

困ってるんだなと察した音枝は、しかし一キロの米をやみ値にして、こっちの立替分をさしひけば彼のもうけはたばこ一つにもやっとなのに気がつき、かわいそうに思って、

「進さん、百円位なら貸してあげますよ。お米もとっときなさいよ。」

ところが更に進君は思いがけないことをいった。買ってもらいたい米は五升だというのだ。最近彼は、週二回の家庭教師の口が二つになり、それで七日の中四日はそこで夕食をごちそうになるから、米はだんだんたまる一方だという。それにしても、みみっちいとひそかに思いながら、彼の貧しさも知っているので、米がくるならと、彼女はひとりぎめで七百五十円を渡した。