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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

家中どっちを向いても花だらけ、いくら花ずきの安江でも少々てれる。

こんな風景をみると、この家のあるじ――こん度は亭主の文吉の方だが――は、さわらぬ神にたたりなしと、そっとしておく。小さいむすこの夏樹や大きい息子の冬太郎たちも、ああそうかと、口には出さずにだまっている。もひとりいる進君、これは間借人だから大して問題にせぬ。そんな中で、娘の音枝ひとりが大口あけて大活躍だった。その方が効果的であることを、経験が教えたのであろう。

「バカね、おかあさん、おとなりへもお向いへもあげたわよ。」

「…………」

「おかあさんのお道楽ですかって。――でもさ、男はこんなとき一ぱいのむのね。おかあさん、一ぱいのんだと思えばいいって。」

(おとなりの奥さんだろう)

と、安江の口をわらせたら音枝の勝利である。これで一段落だった。おかあさんとよばれる安江が一ぱいのんだとして許されるのは、彼女が普通の主婦でなく、小説書きであるからだ。そしておもに彼女が腹を立てるのは、小説書きが万能の神的扱いをされるときである。彼女に彼女の仕事だけをさせておく場合、彼女は前だれがけのまま、時々、

「散歩。