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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
「そうでしょうね。人のいのちをあずかっていらっしゃるんですもの――」
すると床次女医氏は、はっはっとかったつに笑い、
「あずかってもいますが、にぎりつぶしてもいるんですよ。毎日毎日。」
安江は誘いこまれるような気安さを覚え、すぐきり出した。
「あのう、さっそくで、よろしゅうございましょうか。」
床次女医は安江の目的を百も承知のような笑顔で、
「ええ、どうぞ。私の知ってることなら何でも話しますよ。小説のネタなんでしょ。」
意表に出られて二の句に迷う安江にかまわず、すっかりそう思いこんでいるらしい様子で床次女医はつづける。
「――まったく、いろんなケースがありますよ。こういう時代ですから、産児制限も大っぴらになったのはいいんですがね、それに乗っかって、こいつめ! と思うようなのがあるんですよ。とにかくおかっぱの高校生が堂々とやってくるんですもの。中には可愛らしいのもありますがね、せっぷんされたから妊娠してるかどうかみてくれなんて。かと思うと、二三日前でしたかしら。十九だっていう女の子がきましてね、私がいろいろ聞くのをいやがって、たんかをきってとび出したのがいましたわ。