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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

ミルクの作り方もおそわったからな。おれが世話するよ。」

安江が台所で夕餉のしたくをしていると、赤ん坊が泣きだした。

「ああよしよし。ちょっとまってくれよ。」

ひとり言にひとしい文吉の言葉に、安江は肩をすくめながら、そっとのぞいてみた。

「わあ。だれかきてくれえ、うんちだよ。」

安江は思わずとび出していって、じょうずにおしめをとりかえた。まるで子持のようだった。

「だれかったって、ほかにいやしないわよ。ね、赤ちゃん。」

安江は子もりの経験でうしろへぽいとなげるようにして赤ん坊を背負うと、文吉にむかって、

「どんなもんだい。」

もうあと二三日で約束の一か月というとき、兵六さんから丁ねいな手紙がきた。目下新聞にも広告を出して里親を物色中だから、それがきまるまでよろしくたのむというのだ。ミルク代もはいっていた。手紙を真ん中にして夫婦はだまっていた。してやられたという気持と、そんな気持をおこすことの、赤ん坊に対しての申しわけなさと、もう一つ何よりも困るのは夫婦ともども寝不足を来していることだった。

「かわいそうに。なんの因果であんたはうちなんかへきたの。かわいそうに、かわいそうに。