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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
三角帳場よりの電車通りに面して小萩の夫の仙造は自転車屋をしていた。もう四十に近く小萩は二度目の妻だった。車がとまるのを見つけると、彼は飛び出してきた。その顔をみただけで安江はすべてを察し、だまってそのあとについて家へはいった。土間がかたづけられ、そこにはもう一つの人生への別れの準備がととのえられていた。
葬儀のすんだあと、親類縁者は額をよせるようにして、めいめいの気持をそれとなくぶちまけた。
――どないしたもんやろな。
――ほんまにどうしたもんやろな。東京のねえさんにつれてってもらうわけにもいかんやろし。
――死んだもんは焼いたったらそれでおしまいやけんど、生きとるもんに気イもまんならん。
――ほんまや。正直な話、こんな置きみやげが、一ばん困るわな。もらい手がないもん。
――銭つけて、どこぞへやったらどやろ。
――新聞によう広告出たぁるわ。子供やりたしいうてな。
――仙造はんも気の毒やな。嫁はんの葬式ばっかりで、ものいりつづきやないか。
仙造が何かの用事でちょっとその場にいなかったときのことだ。だれもどうしようという者はいないのだった。
――死んだもんは焼いたったらそれでおしまいやけんど、生きとるもんに気イもまんならん……