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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

――そんなしきたり、打ち破ればいい。あんがい古いのね。

――だってうちの家は洋式じゃないのよ。突っ立ってると、お客様を見おろすことになるでしょう。

――あたり前だわ。相手は土間にいるんですもの。

そこでとうとう音枝は母に応援を求めたのだった。

――おかあさん、私、浜子さんは苦手よ。つかいきれない。それにあの人、女中さんの仕事なんて、する気ないらしいわよ。

三十にもなっていて、気の弱いことをいう音枝だった。しかしその時には安江は笑ってとりあわなかった。どうせここに落ちつく娘とは思えなかったからだ。ところが浜子の方はどんなつもりか、きのうはいなかの母親のところへ電報をうったという。――ニモツオクレ――と。

そして今は、自分の方から玄関へとび出していったのだ。ぶっきらぼうな問答がきこえてきた。

「どなたですか。」

どうもやはり突っ立っているらしい。

「わしだというて下され。」

「あら、ワシってお名前ですか。」

「そう。お安さん、いるかね。」

「おばさんのことですか。」

「おばさんというとこをみると、あんた、お安さんのめいかね。そんなら波子の娘かね。」

「あら、失礼ね。