轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
蛾
わたしんとこだって、あんたのおかげで、あれからずっと、部屋代無料奉仕ですからね。恩にきせるわけではありませんがね、そういうわけですよ。」
安江は夏樹の年齢を思いうかべ、
「あれから、足かけ八年ですもの。」
と、八年に力を入れていった。だからこの上泊りこむなどとはいわないでほしいという思いをこめたのだったが、兵六さんはそうはとらないで、別の思いにつないだ。
「八年になるかいな、ほんに。八年たちゃあかきの木も実がなるというのに、あれから、わしは、することなすこと、みーんなはずれてしもてなあ。」
ほうっと大息をつくのをみると、安江は気の毒になって、
「でも、柚は九年の花ざかりっていうじゃないの。元気出しなさいよ。来年は花が咲くかもしれん。」
すると兵六さんは大きくかぶりをふり、
「いーや。柚の大馬鹿十八年ともいうじゃないか。わしゃあもう、そうは生きられんでなあ。」
兵六さんの声はふるえ、頬を大粒の涙が走った。
蛾
浜子がきてもう一か月に近い。
「あなたがうちにいて、女中さんのする仕事でもいいというなら音枝を手つだって、ふたりでやってちょうだいよ。そりゃあね、東京なんて、あなたが田舎で考えていたような、生やさしいところじゃないのよ。