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ざつぶんてきざつぶん
雑文的雑文
伊丹 万作
「中央公論」1934(昭和9)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,835 字 · 18 页
彼らは損してもうけることを知らない。損をしないでもうけようと欲の深いことを考えているから結局たいしたもうけもできないのである。早い話が日本にトーキー化が始まつてから数年。まだ完全に近い設備をもつてトーキーの仕事をしている撮影所がない。
一番最初に完全に近いトーキー設備を完了したものが一番もうけるにきまつているのであるが、だれもそれをしない。だからごらんのとおりいつまでたつてもどんぐりのせいくらべである。
我々の仕事は設備のあとに始まるものと心得ていたらこれが大変なまちがいであつた。
「まず製作せよ。しからばそのもうけによつて設備すべし」これが、日本の映画資本家のトーキーに対する態度である。どうしても設備よりも製作が先なのである。したがつて日本の監督たちは設備ができあがるまでトーキーの仕事を保留する自由を有しない。もしそんな料簡でいたならば彼らは永久にトーキーを作る機会を逸してしまうかもしれないのである。
なおトーキーの機械的不備の問題は撮影所だけにとどまらない。これを上映する館の再生機という難物が控えている。再生機にもピンからキリまであつて、田舎のほうではそのうちもつぱらキリのほうを使用しているから田舎におけるトーキーはときに沈黙の美徳を発揮する。