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ぞうに
雑煮
北大路 魯山人
「星岡」1934(昭和9)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,173 字 · 3 页
季節にちなんで、お雑煮の話をしたいと思う。
いったいお雑煮は、子供の時分から食べ慣れた故郷の地方色あるやり方が、いちばん趣味的で意義がある。
主婦の心がけ次第で、第一日は地方色豊かなお国風雑煮、二日目からは東京風の贅沢な、賑わいのある楽しいもの、というようにすれば、家族に喜ばれること請け合いだ。
かといって、強いてそうせねばならぬという理由はないのだから、各自の好みに任せてよい、とまずご承知おき願いたい。
わたしの経験からいうと、雑煮の中を賑々しくするためには、にんじんとか、だいこん、いもなどを入れる方がよいだろう。いもなども、原形のままの方が野趣があっておもしろい。なにか変わった趣を添えたいような場合には、いもに角目を立てて削るのも悪くない。が、あまり細工をせずに作る方がよいと思う。
だしは普通のかつおぶしだけでとるか、あるいは昆布だしにするのもよろしい。また、冬になると、焼きはぜなどよく贈られる家庭もあろうが、焼きはぜをだしに用いると、特殊の風味が出て楽しめる。
さて、いちばん肝要なのは、餅の焼き方である。昔から狐色に焼くのを最上としておったようだが、ところどころ濃く、ところどころ狐色に丁度鼈甲の斑を思わせるように焼くのが理想的である。