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あめのたまがわしんじゅう

雨の玉川心中

山崎 富栄

01 太宰治との愛と死のノート

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,997 字 · 129 页

青空文庫

十一月十八日

十一月二十日

十一月十八日

ひる。

“――サッちゃん、“レベッカ”は苦しいでしょう?”

“サッちゃん、あの子が太宰さんの子なんですよ!”

“――いいえ、あの子は斜陽の子です”

“私は奥様と同じように、あなたが斜陽の人に逢うことはいやです。もし逢ったら、私死にます”

“逢わない、誓う、ゲンマン

一生、逢わない”

十八日、よる。

修治さんに、書いたものをおみせする。

勝つよ、僕達は勝つよ、と仰言って下さる。

“愛の問題だよ、これぽっちも(と、小指の先を示して)愛情がないんだよ”

十一月二十日

お父さま、お母さま、御元気でいらっしゃいますか。もう御病気も快くなられたことと存じて御便りいたします。

暖かいうちに、一度近江にいきたいと思いながら、その日に追われて御無沙汰いたしておりました。奥名の籍ももとに戻って、いま、手続きをいたしております。抄本が一緒に入っていなかったので遅れていたのです。昔の話になりますけど、十二月九日にお式をあげて二十一日までの奥名富栄さん。それから今日までの四年の間に、本郷での罹災――田舎落ち――鎌倉――三鷹町――と随分わたしも転々といたしました。それでも、奥名家山崎家へも、ことの外のご迷惑もかけないで、どうやら生きてまいりました。